昔の雰囲気のCGでないイラストに回帰したエキスパンションとか、その回だけ変則枠として旧枠カードが入ってるエキスパンションとか、そういうのがあったら良いのになぁ……作られないんだろうなぁ……

≪嫌悪は十二分――色が衝突する理由≫
原題:Hate is Enough ―― Why colors clash
Mark Rosewater, R&D Senior Designer
2002年2月19日
http://archive.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtgcom/feature/14

 皆が仲良く折り合っていけないのはなぜだろうか?
 その答えはカラーホイールに眠っている。そう、カラーホイールだ。多くの人々はリチャード・ガーフィールドの、マジックの基本的なメカニクスという非凡な才能の発現を高く評価している、だが彼のもう一つの発明は、あまり注目を寄せていない、しかし同等に重要なものなのだが、それがカラーホイールだ。カラーホイールはゲームのフレーバーの源泉であるだけでなく、そのメカニクスの源泉でもある。カラーホイールを取り扱うのに膨大な時間を費やしてきた者の一人である私は――私は研究デザイン部ではフレーバー・グルとして通っている、つまりルール・グルの一員でありながらフレーバーにも携わっている――それを深く学べば学ぶほど、より強い感銘を受けたのだ。
 研究デザイン部の知的財産管理者テイラー・ビールマンには、私マークがカラーホイールを張り広げる際に有用な手助けを行なっていただいた。
 ではなぜ色は互いに憎みあうのか? 喜ばしいことに、君たちからこの問いかけを受け取ることができた。以下では手短にゲームに存在する基本的な五つの対立を示していく。

●白と黒
・道徳と超道徳(またの名を善良と邪悪)

 白は一対の【善悪という】道徳的な規則の存在を堅硬に信じている、だが黒はそうではない。白の目には、黒は邪悪に映る。黒の目には、白は阿呆に映る。白が信じる限りでは、黒を打ちのめすことは白に課せられた道徳的義務である。黒が信じる限りでは、黒を打ちのめそうと欲するあらゆるもの、また黒を邪魔するあらゆるもの、これらを打ちのめすことが黒に課せられた責務である。
・光と闇(昼と夜)
 白は開放的で、誠実で、率直だ。白は自分の規則を全員に見えるように――そしてもちろん、全員が遵守するように――顕示するのを好む。対して黒は機密を好む。黒は行動計画を持っている。白は日中の光を味わい、黒は夜中の闇を味わう。白は光を使って黒の邪悪を照らし出そうとし、黒は闇を使って白の純真を堕落させようとする。
・集団の利益と個人の利益
 白は集団を貴び、黒は個人を貴ぶ。白の規則は、つまり白が法律と呼ぶものは、集団の重要性を個人の重要性よりも上位に置いている、だが黒は自分自身のみを気に掛ける。白は純真な者を保護するために、黒にも白の法律を課そうと試みるはずだ。黒は個人の――換言すれば自身の――権利を守るために、それらの法律に反発するだろう。

●緑と黒
・生と死

 緑は自然の筋書きに従事している。黒は自分の筋書きに従事している。緑の信仰は、皆が自然から一歩退き、自然がありのままに事を成すようにしておくべきだ、というものだが、それに反して黒の信仰は、黒は一歩踏み込み、自分が望むような筋書きで物事が起きるように手配する必要がある、というものだ。緑は他のいかなる躍動力【force】も生命より強大で貴重なものはない、と確信しているが、黒は死が生を易々と蹂躙する、と確信している。死こそが本源的な権力である。死を利用することで、黒は自分の願うような形に世界を作り変えることが可能となるのだ。
・成長と腐敗
 緑が欲するのは生物がその潜在性を実現することだ、そして緑の信仰においては成長を通じることによってのみ、世界の潜在性が余すところなく達成させられるのである。しかしながら黒は潜在性というものに対して、軽蔑と嘲りの言葉を容赦なく浴びせつける。例えば死んだ生き物には、もはや潜在性など残っていないだろう、と。それはゾンビの種にする他はない、と。
・共生と寄生
 緑は生物が調和の中で、それも食物連鎖が可能とする限りの調和の中で、共に生存することを望んでいる。黒は自分の足元に生物が跪き、彼らが黒の命令に従うことを望んでいる。緑は次のような確然的信仰を抱いている、すなわちそれは、全ての生きとし生けるものには相互結合があり、そしてこの相互結合からこそ自然の真の権威は生じてくる、というものだ。黒は全ての生物を、自分が渇望してやまない権力を手に入れるための道具、そういった道具の一つとしてしか見ていない。

●緑と青
・天性と養成

 緑の信じるところによると、個人は大切な資質を全て備えた状態で生まれてくる、しかし青のそれによると、個人は白地の石版【slate:粘板岩】であり、形作られたり鍛錬されたりすることができるものである。緑が励むのは、各々の生物の内に秘められている潜在能力を見つけることだ、つまり、長所は内側から芽生えてくるものだ。青の考えは、潜在能力は作られるというものだ、言い換えれば、どんな生物も訓練や教育や変化を受けることが可能であり、そうすることでその生物は青が欲するような別のものになれるのだ。
・自然のままの成長と人為による成長
 緑が重視するのは自然と、自然のままの成長であり、対して青が重視するのは、発展と、人為による成長である。緑が注視するのは自然界であり、瞳に映すのは生命の本質である。青が注視し瞳に映すのは、最新の実験に活用する分には充分円熟した、一連の天然資源である。緑が願うのは、自然が手にかけられないようにあらゆる脅威を排除することだが、更なる進歩を求めている青は、自然の最大の敵だと言える。
・実在と錯覚
 緑が価値を見出すのは、存在するものである、そして青が価値を見出すのは、存在しうるものである。緑の強みは、全ての生物の価値を認識できる能力の上に存している。青の強みは、知覚を理解できる能力の中に眠っている。緑は君たちの知るものを携えて脅威となり、青は君たちの知らないものを用いて脅威となる。

●青と赤
・知性と感情

 青は知性を大事に抱え込み、赤は感情を大切に抱き込む。勝利の秘訣は知識だと青は確信する。勝利の秘訣は情熱だと赤は確信する。青は行動を起こす前に思索するが、赤は速やかに行動に移る。
・思考と行動(冷血と熱血)
 青には冷淡さが、思考に付き物のよそよそしさから生じたものが、備わっている。赤には熱気が、行動の際の激情に伴って出てくるものが、備わっている。青は構想を立てる。赤は行動を起こす。青は計画を練る。赤は現状を穿つ。青は将来を予期する。赤は障害を破砕する。
・慎重と衝動
 青は、急いては事を仕損じると考える。赤は、心の声に背くことが失敗に繋がると考える。青は座して研究するが、赤は突撃し殺していく。青は赤のことを制御されるべき危険物だと考え、赤は青のことを滅ぼすべき脅威だと考える。

●白と赤
・秩序と混沌

 白は規則の重要性に強い価値を置いている。赤は規則を嫌悪している、赤はまさに自由であることを望んでいるからだ。白は生物が小奇麗に秩序正しくあることを望んでいるが、赤は生物が泥臭く乱雑にあることを好んでいる。白の信仰から見れば、無政府状態を避けるために赤は統治される必要があり、対して赤の信仰から見れば、国家全体主義【fascism:ファシズム】を避けるために白は廃止される必要がある。
・防御と攻撃
 白は最善の攻撃は優良な防御であると考える。赤はそのようには考えない、赤は物事を打ち砕くのが好きだからだ。白は防衛の必要性を感じ取る。赤は破壊の必要性を感じ取る。確然的に明らかに、これら二つの行動計画は衝突に向かう。
・全体計略と自由意志
 白の信仰では、規則は常に有用である。戦闘に対して適応されてはならない特別な理由など存在しない。赤はそこまで考える必要性を感じていない。このこと【考える必要性を感じないこと】はまさに心の衝動に相応しいと言えよう。

 ここまで見てきたように、どの色も他のいずれかを憎むのに妥当な理由を持っている。この記事からマジックにおける色の深さを感じ取っていただければ幸いだ。チャンネルは MagicTheGathering.com に合わせたままでよろしく――マジックのフレーバーの込み入った部分に関して、これからも記事やコラムを掲載していくつもりだ。

――マーク・ローズウォーター

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